精密板金業界で、これからの主役を担う複合機。レーザーとの融合でタレパンは新たな時代の幕を開ける。

パンチとレーザーのコンビネーションで作られる複合機。複合機は現在、精密板金市場で最も高額で、大きな利益を生み出す機械です。今回は、複合機の幕開けについてお話しします。

複合機のリーディングカンパニーはアマダとトゥルンプ

複合機は非常に需要の大きい機械ですが、複合機を作る会社は案外少ないのが現状です。日本にとどまらず世界でも、アマダとトゥルンプがリーディングカンパニーとして市場を分けています。

複合機は、パンチングがベースになっていますが、実はアマダとトゥルンプでは多少スタートが違います。アマダは、タレパンをベースにレーザーを合わせて、複合機という形態を製造。対してトゥルンプは、ニブリングマシンを進化させ、レーザーを合わせることで複合機を作り上げました。2社の複合機はお互いの良さがあり、一長一短です。

パンチング+レーザー=複合機のイノベーション

複合機の需要がこれほど高いのは、生産性が高いためです。複合機は、パンチングの特性とレーザーの特性を兼ね備えています。

パンチングは、中量産に強いのが魅力。一方レーザーは、スピードではパンチングには追いつかないものの、特殊形状は得意中の得意です。パンチングで特殊形状を切り抜くには、追い抜きする必要がありますが、レーザーは一筆書きで切り抜けます。

複合機は、パンチングとレーザーが合わさることで、イノベーションされる機械に変わったのです。

アマダのレーザー開発の歴史

ここからは50年前に生まれたパンチングから複合機に至る歴史を説明します。日本のアマダとヨーロッパのトゥルンプ社の歴史を比較しながら見ていきましょう。

タレパンの販売が好調だったアマダは、早期からレーザーの開発に着手していました。1980年代には、当時の最高出力であった1.2kWのCO2レーザーを市場にリリース。大型機から小型機まで発売し、レーザー技術を確立していました。

ところが、アマダのパンチング部門とレーザー部門が複合機に統合されるのは、もう少しあとの話です。

ヨーロッパの台頭と複合機市場の拡大

ヨーロッパでは、1978年にイタリアミラノで開かれた展示会にすでに複合機が出品されています。出展したのは、ドイツからトゥルンプとベーレンスという2社、イタリアからサルバニーニという会社です。

その頃日本では、パンチングとレーザーが別々に需要が高かったこと、パンチとレーザーの「複合加工技術」にチャレンジしていたことが理由で、複合機の開発が遅れていました。しかし、ヨーロッパでの複合機市場の拡大の影響で、日本でも複合機の人気が拡大。トゥルンプ社が日本市場を攻めてきたことで、アマダは一時期トゥルンプに大敗します。

その後、アマダはEMLという複合機の開発を進めることになります。

ファイバーレーザーによる複合機のイノベーション

複合機のイノベーションのポイントは、CO2レーザーからファイバーレーザーに変わったことです。

ファイバーの1つ目の利点は、ハイパワーであること。加工のスピードが上がり、厚い鉄板でも切れることがタレパンとの違いです。タレパンは厚板が苦手で、3.2mm以上の鉄板は加工が難しいことが弱点でした。ファイバーにより、この弱点を克服しています。

ファイバーの2つ目の利点は、非鉄(アルミ・銅・チタンなど)を切れることです。従来のCO2レーザーは、反射してしまうためアルミを切れませんでした。半導体製造装置や医療機器など、現在の精密板金市場は、鉄から非鉄に変わっています。試作から中量産というニーズに加え、短納期というニーズにも応えられるようになりました。

複合機は、今後の自動化やIoT・DXの流れを全て満たす機械です。これからの板金IoT・DXの主役は複合機になっていくでしょう。

パンチングマシーンは、複合機に進化し、自動化につながっていくのです。