差別化エンジンを中心としてきた日本が成長するには、DXやIoTを活用した成長エンジンに他ならない。

世界と日本のモノづくりの違い

現在、中国でスマホを作ったり、韓国で家電を作ったりすることに関して、日本が勝つことができないという状況があります。この理由としては、中国や韓国などとは、モノづくりの概念が違うということが挙げられます。中国や韓国は、設備に投資をしてモジュールで大量生産を行い、一気に作っていくというエンジニアリング的な考え方がモノづくりを支えています。

一方、日本は擦り合わせ型のモノづくりが基盤となっています。電気の技術者や機械の技術者、ベテランの職人などの技能者がお互いに技術をすり合わせて良いモノを作るというのが日本の技術を支えています。これが世界と日本のモノづくりにおける差別化となっており、差別化エンジンと呼ばれています。日本が中国と同じことをして、単なるモジュールで大量生産でモノづくりをしても、勝つことができません。しかし、日本が歴史的に持っている職人などのヒトを中心とした技術や技能というものを今後継承していくことで、日本のモノづくりも世界と勝負していくことができます。

DXやIoTなどのデジタルだけでよいという考え方は間違え

DXやIoT、インダストリー4.0などはヨーロッパやアメリカから来た考え方です。DXやIoTをやればヒトや技術、技能はいらないという考え方が一部にはありますが、精密板金の観点から見て、この考え方では差別化がなされません。

中国やアジアの国々などのモノづくりに遅れてきた国は、差別化よりも成長しなければならなかったため、デジタルという成長エンジン1本に頼って成長してきました。しかし、日本は、成長エンジンと差別化エンジンの2つのエンジンでやっていかなければなりません。若い人たちは、昔の熟練工という人たちよりもモノづくりに対する愛着が少ないですが、日本の血というモノづくりに対する情熱はあるので、これを日本のモノづくりの良さとして捉えるべきだと考えています。

差別化エンジンと成長エンジンを融合して日本のモノづくりとしていく

差別化エンジンはアナログ、成長エンジンはデジタルですので、このアナログとデジタルを融合して日本のモノづくりを確立していく必要があります。日本は、歴史的にモノづくりの遺伝子があり、何百年も技術が代々継承されてきています。モノづくりの遺伝子をアナログとして否定するのではなく、モノづくりにおいて、ヒトすなわちアナログを中心にした考え方を大前提に持っておく必要があります。

その上で、これから日本が1番やるべきことは成長エンジンを成長させていくことです。安く物が作れる、という中国の生産性の高さは認めなくてはいけません。日本は昔と同じようにアナログだけでやっていくというだけでは、国際社会では勝つことはできません。アナログも大切にしながら、同時にデジタルのDXやIoTを大事にして、工場の合理化や生産性の向上をはかっていくことが、これから日本が世界で成長していくために重要だと考えています。